第23回チャリティコンサート 天満敦子バイオリンコンサートのご報告
最初に奏でられたのはバッハの「アルマンド」。天満さんがゆったりとした表情で登場され、弓を動かした瞬間、その強くて深い音色に圧倒された方も多いのではないでしょうか。第一部では、「トロイメライ」、「タイスの瞑想曲」、「ホーム・スイート・ホーム」など、なじみ深い名曲が続きました。ヴァイオリンとピアノだけとは思えない程の豊かな音色に、うっとりしたり切なさが溢れたりと心が揺さぶられる中、天満さんの代名詞とも言われる「望郷のバラード」が奏でられました。
第二部の始まりは、「五木の子守唄」。第一部とは打って変わり、何とも言えない懐かしさと郷愁で一杯になりました。「からたちの花」や「宵待草」などの昔の曲が心に響き、「これほど名曲だったとは」と改めて感じられた方も多いと思います。最後の「ジュピター」では、あまりの神々しさに涙が溢れ、「どうかこのまま途切れないで」と願うほどでした。
アンコールに応えて奏でられたのは、「月の砂漠」。舞台のライトをすべて消して、暗闇の中から聞こえてくる音色が心に沁み込み、涙腺は完全に崩壊しました。「知床旅情」が始まると、会場からどこからともなく口ずさむ声が広がり、最後には会場全体が一つになっていました。
合間のトークや最後のご挨拶で、辛い思いを抱えている友人がいたことで、「いのちの電話」の活動を身近に感じるようになったことや、「ジュピター」の音色で震災の心労から回復された方の話が紹介されました。辛くしんどい思いをしている時、耳から入ってくる声や音色で、癒され救われることがある。「いのちの電話」の重要性を広くご紹介いただいた、貴重な機会となりました。
天満敦子 さんプロフィール
東京藝術大学大学院修了。海野義雄、故レオニード・コーガン、故ヘルマン・クレッバースらに師事。在学中に日本音楽コンクール第１位、ロン＝ティボー国際コンクール特別銀賞等を受賞。以来、国際的に活躍中。
１９９３年にルーマニアの作曲家ポルムベスクの「望郷のバラード」を日本に紹介。クラシック界では異例の１０万枚を超す大ヒットとなり、以後、この作品は天満の代名詞とも言われるようになった。
２００５年４月には小林亜星の書き下ろし作品３曲を含む＜日本の歌＞アルバム「ねむの木の子守歌」（第４７回日本レコード大賞企画賞受賞）９月にはパイプオルガンの小林英之と共演した「祈り」、デビュー３０周年を迎えた２００９年５月には小林亜星の意欲作「ロマンチックをもう１度」を発売。
２０１２年に録音した＜日本の歌＞第２弾「ふるさとのうた」は、発売直後にクラシック部門のベストセラーを記録。２０１５年６月に発売したCD「旅人のうた」には被災された人々への想いが込められている。
又、２０１６年８月には長年の夢であった信州上田の戦没画学生美術館“無言館”で録音したＣＤ「天満敦子in無言館」を発売。業界誌にて絶賛された。現在、東邦音楽大学大学院教授、松本市四賀音楽村村長。
